工場や農園の散水、洗車、清掃用の水を、水道水ではなく雨水でまかなえれば、水道代の削減につながります。そこで注目されているのが、1,000L前後の大容量を備えたIBCコンテナです。
専用の雨水タンクと比べて容量あたりの導入コストを抑えやすく、中古品であればさらに費用を下げられます。ただし、そのまま置くだけでは、藻の発生や蚊の繁殖、地盤の沈下といったトラブルが起こりがちです。
この記事では、IBCコンテナを雨水タンクとして使うために必要な準備、部品、設置手順、失敗しやすいポイントを解説します。
IBCコンテナが雨水タンクに向いている理由
IBCコンテナは、もともと液体の保管や運搬を目的とした容器です。雨水貯留に使う場合、次の点が利点になります。
- 1,000L前後の大容量を1基で確保できる
- 下部にバルブが付いており、ホースやじょうろへの取り出しがしやすい
- 上部の開口部が広く、内部の点検や清掃をしやすい
- 金属製のケージとパレットが付いているため、フォークリフトでの移動や設置場所の変更に対応しやすい
- 複数基を並べて連結すれば、貯水量を増やせる
使う前に確認したいこと
雨水タンクとして使う中古IBCは、以前に何が入っていたかを必ず確認してください。特に次の点に注意が必要です。
- 薬品や溶剤が入っていた容器は、洗浄しても成分が残る場合があるため避ける
- 食品や飲料の原料が入っていた容器であれば、比較的扱いやすい
- 野菜や果樹への散水に使う場合は、前の内容物と洗浄状況を販売元に確認する
購入時に、前の内容物と洗浄の有無を確認しておくと安心です。用途に合った状態の選び方は、別記事の中古IBCコンテナの選び方も参考にしてください。
必要な容量の目安
雨水の集水量は、次の式で概算できます。
集水量(L) = 屋根面積(㎡) × 降雨量(mm)
1㎡の面積に1mmの雨が降ると、約1Lになります。たとえば、屋根面積が200㎡の倉庫に5mmの雨が降ると、約1,000Lです。1,000LのIBCコンテナ1基が、ほぼ満水になる計算です。
必要な部品と備品
IBCコンテナ本体のほかに、次のものを用意します。
- 雨どい用の集水器(雨どいから水を分岐させる部品。満水時に雨どいへ水を戻すタイプが便利)
- 落ち葉やゴミを除去するフィルターまたはメッシュ
- 蚊の侵入を防ぐ細かい網
- バルブ接続用のホースジョイント(IBCのバルブ口径に合うもの)
- 遮光シートまたは遮光カバー
- 設置用のコンクリートブロックなどの架台
- 必要に応じて、小型の給水ポンプ
設置手順
- 設置場所を決める。雨どいに近く、平らで硬い場所を選びます。
- 地盤を整える。満水時は容器を含めて1トンを超えるため、砂利やコンクリートで水平を確保します。
- 架台にIBCコンテナを載せる。高さ約1mの台に載せると、水圧が約0.01MPa得られ、ホースからの出が良くなります。
- 雨どいに集水器を取り付け、ホースで上部の開口部へ導く。開口部にはフィルターと防虫ネットを付けます。
- 下部のバルブにホースジョイントを接続し、給水の動作を確認する。
失敗しやすい注意点
藻の発生
半透明の本体は光を通すため、そのまま屋外に置くと藻が発生しやすくなります。遮光シートで覆うか、日陰に設置してください。遮光は、紫外線による樹脂の劣化を抑える効果もあります。
冬季の凍結
寒冷地では、内部の水が凍ってバルブが破損することがあります。冬季は水を抜くか、バルブ周辺を保温してください。
地盤の沈下と転倒
満水時の重量に耐えられない柔らかい地盤では、傾きや沈下が起こります。設置前に地盤を固めておきましょう。設置の考え方は、記事「IBCコンテナの設置・保管・移動で気をつけたいポイント」でも解説しています。
飲用には使えない
雨水は、飲用や調理には使えません。用途は、散水、洗車、清掃、災害時のトイレ用水など、飲用以外に限定してください。
雨水用の中古IBCを選ぶときのチェックポイント
- 本体に亀裂や変形がないか
- バルブが正常に開閉でき、水漏れがないか
- 金属ケージにサビや歪みが少ないか
- 上部の蓋とパッキンが揃っているか
- 前の内容物と洗浄状況が確認できるか
まとめ
IBCコンテナは、容量が大きく、取り出しやすく、コストを抑えられる点で、雨水タンクに向いた容器です。一方で、遮光、防虫、凍結対策、地盤の確保といった基本を押さえないと、思わぬトラブルにつながります。
用途に合った状態のIBCコンテナをお探しの際は、商品一覧をご覧いただくか、お問い合わせフォームからご相談ください。